2020-05-25公開

個人事業主の消費税 納税義務の発生条件と計算方法は?

個人事業主の消費税 納税義務の発生条件と計算方法は?
画像出典:PIXTA

この記事では個人事業主の方の消費税の納税義務や計算方法に関する情報をまとめました。記事を読むことで、納税義務の生じる条件や、納税関連の専門用語、事業者や業種ごとに異なる税額の算出方法を理解することができます。

個人事業主の定義とは

個人事業主の定義を解説します。まずは「事業」を理解することで「個人事業主」がより理解しやすくなります。

事業とは

事業とは、対価を得て行われる資産の譲渡やサービスの提供、商品などの販売を繰り返し、継続して行うことをいいます。

事業かどうかの判断にはこの「繰り返し、継続される」ことが重要で、フリーマーケットやアプリなどで物品を販売して、一時的に対価を得ることは事業にあたりません。

個人事業主とは

個人事業主とは、上記に記した事業行為を行うにあたり、法人として登記をせずに、個人として事業を行う者をさします。

個人事業を開設・開業するにあたっては、事業開始1カ月以内に、納税地の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出することで事業開始を認められます。

消費税

消費税を導入した目的

消費税は1989年に導入されました。導入の目的は消費税法第1条第2項に以下のように記されています。

"消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。"

引用元 : e-GOV 消費税法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=363AC0000000108_20180410_430AC0000000007&openerCode=1#A

消費税の仕組みについて解説します。

国税庁では消費税について以下のように解説しています。

"消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別消費税とは異なり、消費に対し広く公平に負担を求める間接税です。

消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供と外国貨物の引取りです。

この消費税は、生産及び流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度その販売価格に上乗せされてかかりますが、最終的に税を負担するのは消費者となります。"

※電気通信回線を介して、国内の事業者・消費者に対して行われる電子書籍・広告の配信等のサービスの提供については、平成27年10月1日以後、国外から行われるものについても、消費税が課税されることとされました。詳細は下記引用元を参照してください。

引用元 : 国税庁 消費税率及び地方消費税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6101.htm

負担と納付

消費税は間接税なので、納税者と負担者が違います。
納税者(納税義務者)は事業者で負担者(担税者)は消費者になります。

課税売上高 1,000万円超えると納税義務が生じる

課税売上とは

課税売上とは商品やサービスを提供した際の売上、事業用資産の売却や貸付などで得た売上をさします。

納税の義務

事業者に消費税の納付義務が生じるのは課税売上高が1,000万円を超えた場合になります。課税売上高が1,000万円を下回った場合は消費税を納める必要はありません。

国税庁では以下のように記しています。

"消費税では、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。"

引用元 : 国税庁 納税義務の免除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm

消費税の該当期間

課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生しますが、1,000万円を超えたその年度に納付するわけではありません。この場合「基準期間」「特定期間」を理解する必要があります。

基準期間

基準期間とは前々年度の事業期間をさします。個人事業者は前々年の1月1日から12月31日までとなります。
前々年度の事業期間が1年に満たない場合には定められた計算により算出します。

国税庁 課税期間
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6137.htm

特定期間

特定期間とは事業年度の前年の6カ月になります。個人事業者の場合は前年の1月1日から6月30日までとなります。

消費税の計算方法

納付する消費税を算出する方法は一般課税・簡易課税の2つの方式があります。

一般課税・原則課税方式

一般課税方式とは、課税売上として消費者から預かった消費税額から、課税仕入れ等として、自身(自社)が支払った消費税額を控除して計算する方式です。

簡易課税方式

簡易課税方式とは、業種ごとに「みなし仕入れ率」を課税売上に掛け合わせて算出する方法です。業種ごとのみなし仕入れ率は以下のようになります。

一般課税と簡易課税ではどちらの方が税額が得か

どちらの計算手法の方が税額が得になるかは、業種や販売額や仕入額などの状況でケースバイケースです。同じ業種でも売上や仕入れの状況によってどちらが得かは変わってきます。

税理士と顧問契約している場合は確認するといいでしょう。

 

税額算出例

標準課税売上 600万円、軽減税率対象の課税売上 400万円
標準課税仕入 300万円、軽減税率対象の課税仕入 100万円

 

(原則課税)

(600万円 × 10%) + (400万円 × 8%) = 92万円 売上に関する消費税額
(300万円 × 10%) + (100万円 × 8%) = 38万円 課税仕入に関する消費税額
92万円 – 38万円 = 54万円 納付する消費税額

 

(簡易課税)

(600万円 × 10%) + (400万円 × 8%) = 92万円 売上に関する消費税額
92万円 × 50%(第5種事業のみなし仕入率) = 46万円
92万円 – 46万円 = 46万円 納付する消費税額

免税事業者と仕入税額の還付

仕入代金などで支払った消費税と地方消費税は、売上げとして消費者から預かった消費税と地方消費税の額から控除することができます。
また、控除しきれない場合は、確定申告により還付されます。

控除の条件は国税庁により以下のように記されています。

 

"(1) 前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える個人事業者(課税事業者)(注1)

(2) 前々事業年度(基準期間)の課税売上高(前々事業年度が1年未満の場合は、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過するまでの間に開始した各事業年度を合わせた期間の課税売上高の合計額をその各事業年度の合計月数で割った額に12を掛けて計算した金額)が1,000万円を超える法人(課税事業者)(注1)

(3) 課税事業者となることを選択した者

(4) 基準期間がない法人のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上の法人(注2)

このように、還付を受けることができる者は、課税事業者又は課税事業者となることを選択した事業者に限られますから、免税事業者は仕入代金に含まれている消費税と地方消費税の還付を受けることはできません。

(注1) その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となります。
なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

※特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6カ月の期間をいいます。

(注2) 特定新規設立法人も同様に課税事業者となります。"

 

引用元:国税庁 免税事業者と仕入税額の還付
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6613.htm

副業は個人事業? 消費税を納める必要は?

近年多くの企業において認められつつある副業。この副業で得た報酬に対しても消費税を納付する必要はあるのでしょうか?
この場合「非課税取引」と前出した「課税売上高」を理解するといいでしょう。
また、消費税とは別に所得税にも注意が必要です。

非課税取引とは

消費税とは「消費」に対して課税するものです。その性質上、いくつかの取引において消費税が免除されているものがあります。
国税庁では以下のようにその項目を定義しています。

"(1) 土地の譲渡及び貸付け
土地には、借地権などの土地の上に存する権利を含みます。
ただし、1か月未満の土地の貸付け及び駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません。

(2) 有価証券等の譲渡
国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。

(3) 支払手段の譲渡(注)
銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの譲渡
ただし、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たりません。(注)平成29年7月1日以後、資金決済に関する法律第2条第5項に規定する仮想通貨の譲渡も非課税となっております。

(4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など

(5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡

(6) 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡

(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料
なお、この一定の事務とは、例えば、登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付などです。

(8) 外国為替業務に係る役務の提供
(9) 社会保険医療の給付等
健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など。ただし、美容整形や差額ベッドの料金及び市販されている医薬品を購入した場合は非課税取引に当たりません。

(10) 介護保険サービスの提供
介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービス、施設サービスなど
ただし、サービス利用者の選択による特別な居室の提供や送迎などの対価は非課税取引には当たりません。

(11) 社会福祉事業等によるサービスの提供
社会福祉法に規定する第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、更生保護事業法に規定する更生保護事業などの社会福祉事業等によるサービスの提供

(12) 助産医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供
(13) 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供

(14) 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
義肢、盲人安全つえ、義眼、点字器、人工喉頭、車いす、改造自動車などの身体障害者用物品の譲渡、貸付け、製作の請負及びこれら身体障害者用物品の修理のうち一定のもの

(15) 学校教育
学校教育法に規定する学校、専修学校、修業年限が1年以上などの一定の要件を満たす各種学校等の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など。

(16) 教科用図書の譲渡
(17) 住宅の貸付け
契約において人の居住の用に供することが明らかなものに限られます。
ただし、1カ月未満の貸付けなどは非課税取引には当たりません。"

 

引用元 :国税庁 非課税となる取引
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm

上記(17)の住宅の貸付にあるように、副業としてアパートやマンションを経営する副業などは消費税納付の対象にはなりません。

課税売上高

前出のように課税売上高が1,000万円以下の場合には消費税の納付義務は発生しません。
副業で1,000万円を超える課税売上がある場合には納税対象となります。

所得税

課税売上が1,000万円未満で消費税の納付義務が生じない場合でも、副業での所得が20万円を超える場合には税務署に対し「確定申告」を行う必要があります。

この場合は消費税ではなく、所得税の対象となるためです。

まとめ

個人事業主の消費税の納税義務は課税売上高1,000万円がボーダーになります。また納税といいますが、事業所が消費者から預かっている額を代理で納めるという意味になります。税額をきちんと管理することで節税にもつながる可能性がありますので、仕組みを理解し適切な管理をするようにしましょう。

この記事を書いた人サンノマル 和花

キャリアママ Webライター。保険業で15年の営業経験からチーム運営と人材育成|ファイナンシャル・プランナー資格取得。子育て世帯の家計の見直しで主に活動。夫婦で学ぶブログ運営。ママの株投資にも力を入れています。シングルマザーから現在は事実婚で子ども2人の子育て中。

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